BESSA R3A

One Day #60

Voigtlander BESSA R3A Carl Zeiss Biogon T* 2/35 ZM
Voigtlander BESSA R3A , Carl Zeiss Biogon T* 2/35 ZM

妊娠の頃もそれはそれでいろいろ大変だったけれども、今思えばずいぶん自由に写真を撮ることができて、そういう意味では幸せだったなーと思う。
ベビーベッド代わりに用意したゆりかごはすでに荷物置き場。
5分もひとりで眠ってくれるようであれば奇跡のよう。これほどまでの抱っこ好きの甘えん坊、引っ付き虫のように離れないとは思ってもおらず、産まれてからしばらくはMFレンズでも困らないだろうと思っていたのが大間違いだった。常に片手しか使えないような状況下で時間もないってなると、本当に自由に写真を撮ることができない。
その中で、どんだけ撮っていけるかってなるのだけど、自然と手にするのが多いのがニコワンあたり。T3やTVS2も使うのだけど、結局スキャンする時間がなくて写真を見れていない。ま、こちらは将来の楽しみ的、タイムカプセル的に撮りためるしかないと思ってる。

全然話は変わるけれど、Biogon T* 2/35 ZM、フィルムだととっても佳い写りをしてくれる。少しマニアックな話ですが、球面レンズだけで仕立ててあるので、解放での適度な柔かさ、絞った時の締りなど期待に応えてくれる使いやすい感じ。ボケもエッジが立つけど年輪模様もなく、2線ボケになる距離感もPlanarと違う。でも、無いわけじゃないくややざわつく感じが、なめらか過ぎて綺麗すぎるものと違う写真らしさを持っている。
それなのに、デジタルのα7で使うと周辺がぐたぐたすぎて、酷いこと言えばBiogonの名前を汚すんじゃないかってくらい酷くて、安物ズームでももっと写ると言ってやりたい。ま、製造時期の目的が違うものだからとやかく言ってもしょうがないのだけど。Loxia 2/35は周辺画質がぜんぜん違うようなので使いやすいのだろうけど、ZMは通常使いでも周辺画質の流れは目に余るレベル。
でも中央からその周辺はしっかりとした写りで印象的な光のトーンを拾ってくれる。どことなくSigma 30mm F1.4のようなポートレートで印象的な絵を結んでくれるので、個人的にはアリだし重宝するレンズなんだけど、正直、フルサイズのデジタルで使う人には人にはオススメできないレンズになっちゃってます。Mで使うとどうなるのかさっぱりだけど。
あと、地味なとこですがBiogonの中では最も明かるいレンズだったりします。



One Day #51

Voigtlander BESSA R3A Carl Zeiss Biogon T* 2/35 ZM
Voigtlander BESSA R3A Carl Zeiss Biogon T* 2/35 ZM

髪を切りに行った。その町には妻が好きな焼菓子店がある。たぶんお土産を期待しているだろうから、帰り際に臨時休業してたよと電話で伝えた
鞄にはしっかりスコーンとクッキーを入れてある
食べるの大好きなひと、喜んでくれるのが楽しみだ



漁港の日常

Bessa R3A + Voigtlander COLOR-SKOPAR 50mm F2.5
Bessa R3A + Voigtlander COLOR-SKOPAR 50mm F2.5

ちょっとした桟橋があると近所の人があつまってくる
中身のないような会話をくりひろげながら、ちらほら家に帰っていくんだけど、そういうやりとりが安心できるというかなんというか心地いい
桟橋の先っぽなんて時間に追われている人や生活で忙しい人がこれないようにするためか、だいたい無駄に長くて、その先っぽに行きたくなる



漁港中毒

BESSA R3A + Voigtlander COLOR-SKOPAR 28mm F3.5

BESSA R3A + Voigtlander COLOR-SKOPAR 28mm F3.5

漁港が好き。
意味もなく、無性に漁港に行きたくなる。
世間にニコチン中毒やアルコール中毒というのがあるのなら、
漁港中毒だってあるはず。
やっかいなことに、年に数回は発症する。



淡色


Bessa R3A + Nippon kogaku japan nikkor-S・C 5cm F1.4 Lmount

ちっちゃく見えて、ペンタコン6だったりする。
最近、女性が中判カメラを使うのをよく見かけるし、周りでも結構、いる。
あのフィルムに閉じ込められたトーンの豊富さは、中判カメラを使わないとわからないよね。
DP2 Merrill の驚異的な解像力はスキャニングされる中判画質を超えていると思うけど、なかなかね、中判の魅力とはまた違うもので、
けっしてMerrillがあるから中判カメラを使わなくなるなんてことは無いのです。
中判カメラで撮ったフィルムからダイレクトでプリントしてないから、正直解像力がどっちが高いかわかんないし、ものすごく興味を引くものでもない。
それぞれ異質のカメラだと思って使っています。

それとは別にNippon kogaku japan nikkor-S・C 5cm F1.4 Lmountというレンズ、ゾナーの流れをくむだけあって、
この描写は大好き。やっぱり自分は好きか嫌いかが大切みたい。



あまやどり


Bessa R3A + Voigtlander COLOR-SKOPAR 50mm F2.5

公園を歩いている時、遠雷が聞こえ雨が降り出した。
iPhoneを見ると降雨計が真っ赤に染まっていたので、一人小さなトンネルの中で「あまやどり」をすることにした。

あまやどりをしていたトンネルは二つの公園をつなぐ小さなトンネル。
ぱらぱらと降り出した雨はすぐに滝のように降り、瞬く間に公園を大きな水たまりに変え歩道を川のようにしてしまった。公園で遊んでいた大人も子供も姿を消し、おじさんや中学生の二人組も駆け込んできた。そして、しばらくすると再び雨の中へ走り出していった。

トンネルから見える景色は灰色の世界。
そんな灰色の世界を数枚撮影していると、フレームの中に一人のおばあちゃんが入って来た。
そして、突然「子供たちを見ませんでしたか」と。
そして続けて「この公園に遊びに行ってくると言っていたから。こんな大雨になっちゃって傘が無いとずぶぬれになっちゃうよ」と。
そして見ませんでしたと答えると「そうですか」と残念そうに、閉じられたままの傘をひきずりながら再び雨の中へ消えていった。おばあちゃんの足元はすでにずぶ濡れになっていた。

しばらくして雨が小雨になり空が明るくなってきたので、雨上がりの公園を撮影しながら出口へと向かうと、さっきのおばあちゃんとすれ違った。

閉じられていた傘はそのままおばあちゃんの手の中にあった。

青空が真っ黒になった時に偶然出会った素敵なお節介のお話。
雨上がりの青空と併せてすがすがしい気持ちになれた。子供たちからはありがとうの言葉は無かったかもしれないけれど、赤の他人の自分はちゃんと心の中でありがとうって言っていたよ。



おかえり

Bessa R3A + Nokton 35mm F1.2 Aspherical

よくわからないけど空の瓶で盛り上がっていた 笑
ほんと、この三人は仲が良くていつもいつも楽しそうにしている。
家族でもないのに「行ってきます」と「ただいま」が言える人がいる。
そして「おかえり」も。

独り暮らしをしている我が家に帰ったところで、この言葉は絶対に出てこない。
「行ってきます」「ただいま」とかって、家とかという場所じゃなくて、
改めて待ち人へ使う言葉なんだと感じる。

愛しい人に使うのかな?
男友達だと、久しぶりに地元に帰ってきて会っても「よっ」とか「うす元気」とかで、
離れていた時間が一気に縮まる。
きっとすこし違う関係なんだろうな「行ってきます」や「おかえり」は。



ウクレレ

Bessa R3A + Nokton 35mm f1.2 Aspherical

昔から「カタチ」が残るものが好きだった。
工作や絵とかが好きで、20歳くらいまでは絵ばかりを描いていたと思う。
そうこうしているうちに、やがて絵は写真に取って代わり、20代は写真ばかりを撮っていたと思う。
絵にしても写真にしてもグラフィックデザインにしても、取り組むことはやはり「カタチ」に残るものばかりだった。
「カタチ」には残らない音楽を聴くのは好きだった。
けれど、それに取り組んだことは無い。自分に楽器の才能がないのは小学生の授業で十分に知っていたし「カタチ」の残らないものに時間を費やすのが嫌いで、極端に言うとそこへの努力は自分の中で無駄なものと同一という認識になっていた。

でも、「カタチ」に残らないだけで、最近は「カタチ」のあるものよりずっと心に響くものなんだって感じることが出来た。薄々は気が付いていたんだけれども、やっぱり「カタチ」がないことでこそ人を惹きつける強さがあるのだと。
真面目に撮った写真を見てバカ笑いする人って居ないよね。幸せな気持ちにさせられる写真はあっても、仲間と肩組んだり笑ったりすることって写真では撮る時にはあっても撮った後には無い。「カタチ」になってしまった後では遅いんだ。
だから今は「カタチ」の残らないものの強さも手に入れたいと思った。
「カタチ」に残るものの強さ、「カタチ」に残らないものの強さ。

昨日、半衝動的に「ウクレレ」を買ってきた。
「カタチ」に残らない強さに触れるため。
ウクレレは写真の子たちと一緒に練習をする予定。独りでやるとすぐに挫折してしまいそうだけど、可愛い人達と練習すれば続けられる気がする。緑色の酒瓶を二人で見つめあって笑いあえるなんて、大人なのに子供みたいな心を持っていて可愛いよね。



さよならcombine

BESSA R3A + NOKTON 35mm F1.2 Aspherical

お気に入りのカフェ、中目黒にあるcombine。
ここが今月25日で閉店する。

このカフェは目黒川沿いにあって、コンクリートむき出しのなかにシックなソファーやテーブルがあって、そして様々な芸術書を読むことができる。その雰囲気は殺伐さと知的なものがまじりあった無国籍のようで、ともすればどこぞに革命家が潜んでいそうな独特の空間だった。
目黒川沿いということもあって、日中はやさしい光が差し込んでとても美しい空間になる。
訪れる人も多国籍のようで、あたりまえのように英語での会話も聞こえた。
ハービー山口さんにお会いしたのも、このカフェだった。
カフェに入って来たかと思うと、窓際に座っていた女性に声をかけ、自然と撮影を始めていた。

こんな素敵なカフェが無くなるなんて思わなかったよ。
本当に残念だ。



夏のあと

Voigtlander BESSA R3A + Nokton 35mm f1.2 Aspherical

大丈夫、これからやってくる冬と春を精いっぱい楽しめば、
もっと素敵な夏に会えるよ。

と、自分自身に言い聞かせる。
そして、何のロマンスも無いまま終わった夏にフタをする。