Ai Nikkor 45mm F2.8Pはマウント部からレンズの先端まで、わずか17mmという薄いレンズです。3群4枚構成で7枚羽の円形絞りを持つこのレンズ。重量は126グラムと軽く、カメラに取り付けても重さをほとんど感じません。また、薄いことによって重心も安定するため実際の重量 以上に軽く感じられます。
フードとフィルターとキャップをつけるとAi nikkor 50mm F1.4Sのフードとフィル ターなしと同じくらいボディから飛び出していますが、フード、フィルターをつけてこのサイズというのは驚異的です。
一眼レフのレンズは重く長い物がほとんどですが、このレンズをFM3aに取り付けて街中を歩いていると疲れ知らずで歩き回れます。開放F値はF2.8と暗めですが、写りも開放から十分に使えるものです。透明感のある発色と中間調の再現性が良く、ヌケが良いためかコントラストは少し強めに感じます。
開放では周辺光量落ちがあり、厳しく見ればシャープさにやや欠ける感じもしますが、絞れば解像度もしっかりとついてきて周辺光量落ちもかなり解消され、シャープさも出てきます。
優れた描写性能をコンパクトなボディにギュッと詰め込んだレンズですが、優れた描写性能であるけれど、逆にあまり面白みのないレンズと感じてしまうかもしれません。
少し絞り込んだくらいでは、絞りの形も極端には崩れないので背景などのボケもごちゃごちゃとした感じはあまりありません。Ai nikkor 50mm F1.4Sの気になるボケ、場合によっては不快さも感じるボケ方とはあきらかに違います。
ただ、開放F値の小ささと45mmという焦点距離のためあまり大きなボケは期待できません。ボケ方は背景が形を保ったまま、エッジがぼやっとしているという感じです。

パンケーキレンズということであれば、シャープさや線の細さ、レンズの質感はVoigtlande ULTRON 40mm F2 SL Asphericalの方が良い感じがします。しかし、青がかぶりやすくサイズ、重量も大きくなってしまいます。

この45mmレンズは、Ai-Pタイプなので、デジタルカメラでも絞り値がボディへ伝わります。そのため、露出計を利用することが可能となり、シャッター優先と絞り優先のモードを利用することが出来ます。プログラムオートがあるカメラなら、それも利用可能です。
アルミ鏡胴に彫り込まれた絞り指標や被写界深度目盛、そして付属のフードやフィルターはすべて刻印となっていて、造りは非常に凝っています。この先、これほど手をかけたパンケーキレンズは、二度と出てくることは無いと思います。
そして、2005年に製造中止となったレンズです。

フード		HN-35 付
レンズ構成		3 群-4 枚
ED レンズ		0 枚
非球面レンズ		0 枚
画角		50°
絞り羽根枚数		7 枚（円形絞り)
最小絞り		22
最短撮影距離		0.45m
最大撮影倍率		1/7.6
フォーカス制限切替スイッチ		なし
質量(約)		120g
最大径×長さ(約) (先端よりバヨネット基準面まで)		63×17 mm
キャップ		専用スプリング式
ケース		専用ソフトケース付 （シルバー・ブラック共用)
三脚座		なし
前側外部フィルター取り付け枠の回転		回転しない
前面外付けフィルターサイズ		52mm(P=0.75)
差込式フィルターサイズ		−−−
内蔵または後端部フィルター		−−−
円偏光フィルター適否		使用可能
円偏光フィルターII適否		使用可能（専用フードHN-35付でも使用可能）
TC-201S		使用不可
TC-301S		使用不可
TC-14AS		使用不可
TC-14BS		使用不可
TC-20E/20E II		使用不可
TC-14E/14E II		使用不可
AF-3		使用可能（3)
AF-4		使用可能（4) ( )内の数字は装着可能なフード (AF-3:HN-36/AF-4:HN-37) の枚数を表す
赤外指標		あり
付属品		専用 52mm スプリング式前キャップ・裏ぶた LF-1・専用 52mm NC フィルター ・専用フード HN-35・専用ソフトケース（シルバー・ブラック共用)
絞り環の有無		あり
距離目盛の有無		あり
バヨネットリングの材質		金属
備考